信越国境の最北、長野県飯山市と野沢温泉村の北側に連なる関田山脈、西端の斑尾山（1382ｍ）から東端の天水山までの全長約80ｋｍの山々が「信越トレイル」として整備されているという。ほぼ中央にはブナ林で名高い鍋倉山（1289ｍ）がある豪雪地帯にある山波である。その山稜から1ｋｍほど北に外れたところに一等三角点峰である菱ヶ岳がある。この時季としては高さの足りない山であり、暑さが懸念されるものの、ブナの森がそれを和らげてくれるのを期待しよう。

天水山の北側を起点にしようとしていたが、何処かで林道が通行止になっているという情報を得た為、野々海池（ののみいけ）から深坂峠（みさかとうげ）に車で入った。峠から東方に向かう林道・野々海天水越線は落石の為に通行止とのことで頑丈なゲートで閉鎖されている。天水越付近を起点にと考えていたが、計画の逆コースにしよう。

県境の峠には信越トレイルの立派な標識があり、天水山へ4.1ｋｍとなっており、少し長野側に戻ると稜線へのトレイル入口がある。わずかな急登から尾根に乗ると、もうほとんど標高差のない樹林歩きになり、呆気なく今日の最高点の三方岳に到着した。

ここからは木で無い木の橅の樹海の真骨頂の尾根になるが、トレイルはきちんと整備されている。木漏れ日の日差しは痛いほどではあるものの、ビュービューと強い風もあり、時折、南方に雲を纏った高峰が見える。鳥甲山の辺りだろうか。

天水山は何処の高みか？と、いくつかの小鞍部を過ぎて行くと、三方岳から30分余りで、左に急峻な窪が降りている。これを下っている人もいるのだろうか？と思いながら、いくつもの小さなｕｐ　ｄｏｗｎをこなすと、天水山に着いてしまった。地形図にある1090ｍ峰の先から北東に降りている破線路はわからないままであった。

天水山の山頂標識は、写真のように単に「下山ルート」となっているだけで、地名は何もない。深坂峠に戻るには稜線の北方、標高で150ｍほど下を通っている通行止になっていた林道に出たいのだが、行き先のわからない下山ルートは恐らく南方の栄村に向かってしまうのだろう。さきほど確認できなかった破線路を目指して少し戻ってみよう。

天水山を下り、1090ｍ峰への登りにさしかかってもやはり踏跡を見出せないままに1090ｍの頭になってしまった。これみよがしにブナの木に古い赤ペンキと少し離れた所に赤テープがある。しかし、踏跡はない。

かすかな北方に向かう尾根は藪がそんなに濃いようには見えないので、強引に降りることに決定した。斜面とも尾根ともつかない藪を下って行くと、運良く林道の法面を避けた地点で車道に降り立つことができた。20分の藪の下降であった。

駐車地点とした深坂峠までは登り返しの林道になる。北方が開け、ほぼ真北の方角に目立つ山は米山のようだ。その手前のやや東にあるのは刈羽の黒姫山だろうか・・・・・・？


　○　2013年8月27日　　○　天候　晴れ一時曇り


深坂峠11.12三方岳11.38～42天水山12.34～51　1090ｍ峰13.04～06林道・野々海天水越線13.26深坂峠14.04

下山後のもう一座として菱ヶ岳を目論んでいた。しかし、山稜としてはほぼ繋がっているものの、山は離れ過ぎており、登山口までは一旦山を完全に降りなければならなかった。林道程度の幅員しかない国道403号線をトロトロと北上し、伏野峠を越えて新潟県に入った。左下に不動の滝があるという付近の右手に菱ヶ岳へ60分という登山口を確認したものの、山頂へは明朝の「朝飯前」にしようと決め、今日の泊まり場の「雪だるま温泉」に車を走らせた。

菱ヶ岳の北麓にあるキューピッドバレイスキー場、標高はほぼ450ｍであり、ゲレンデから登っていくと2時間はかかるだろう。早朝の空は予想に反して曇り空だ。やはり安直に不動の滝口からにしよう。

数台分の駐車場？から歩きだした。昨日と同じくブナ林の道だが、昨夜、雨が降ったようでかなり濡れている。

ひとしきり登ると、右手から沢音が近づいてくる。地形図の破線とはやや異なり、東側の不動の滝の上流の枝分かれをした沢に出た。「古道須川峠」へという分岐標識がある。ここから菱ヶ岳への道は左手の沢地形を通る。やや踏跡が細くなるものの、間もなく沢と分かれるとそれなりの急登の尾根になる。必要かな？と思う程度のロープが断続し、傾斜が緩くなると菱ヶ岳の山頂に飛び出した。

一等三角点の山であるが、残念ながら薄い雲の中で間もなく霧滴が雨滴に変わってきた。早々に下山しよう。この分では8時からという朝食の前に一風呂浴びることができそうだ。

　○　2013年8月28日　　○　天候　曇り→霧→小雨

不動の滝登山口5.37須川峠分岐5.57菱ヶ岳6.20～27分岐6.45登山口7.00


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